塗料の「攪拌」と「希釈率」|目分量をやめるだけで仕上がりが変わる【宇都宮・栃木】

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更新日:2025-08-12|対象:戸建て・アパート・工場の発注者/現場監督/職人さん

リード
同じ塗料・同じ職人でも、攪拌と希釈がブレるだけで、色ムラ・艶ムラ・密着不良・早期劣化が起きます。この記事は「測る→混ぜる→薄める」を再現性ある手順に落とし込んだ現場基準。目分量のクセをやめるだけで、仕上がりとクレーム率は目に見えて下がります。


目次


結論(TL;DR)

  • 攪拌は2〜3分で終わらない。 底・側面の沈降を起こさない上下循環が基本。

  • 希釈率は“塗料に対して○%”が原則。**総量に対して○%**と混同しない。

  • 粘度は温度依存寒い→薄めるではなく、保管温度20±5°Cを守る。

  • 2Kは秤量・順番・誘導時間・可使時間の4点で仕上がりが決まる。

  • 目分量をやめ、2%刻みで希釈カップ粘度で再確認が現場の最適解。


準備する道具(最低限)

  • 可変速ミキサー(300–800rpm/低速トルク型)+底さらいタイプの撹拌羽根

  • デジタルはかり(最小表示1〜5g/耐荷重10〜20kg)

  • 計量カップ(1L/5Lの目盛付)

  • 粘度カップ(Ford #4 や NKカップ等)+温度計・湿度計

  • ストレーナー(80〜100メッシュ目安)

  • タイマー(可使時間・誘導時間の管理用)

  • 清潔な攪拌棒/スクレーパー(缶壁・底の掻き上げ用)

コツ:測る道具は塗料用とシンナー用で分ける。クロスコンタミを防ぎます。

標準手順:攪拌→粘度確認→希釈→再確認

  1. 環境確認:素材温度・塗料温度が20±5°C露点+3°C以上を確保。

  2. 缶の外周をぬぐう:缶外や蓋の粉・埃を除去(異物混入を防ぐ)。

  3. 素攪拌(3〜5分):低速で底→中→表層上下循環。缶壁をスクレーパーで掻き上げ、沈降顔料を完全に起こす。

  4. 粘度チェック:カップで**基準粘度(例:20–60秒/20°C)**を把握。

  5. 希釈(2%刻み):メーカーTDSの範囲内で、塗料“に対して”○%少量→再攪拌1分→再測定

  6. ストレーナー濾過80–100メッシュで作業缶に移す。

  7. 作業中の再攪拌15–30分ごと10–20秒の低速攪拌(沈降防止)。

  8. 休止時は密閉:溶剤揮発・水分混入を防ぐ。

NG:高速で渦を立てる攪拌。泡巻込み→ピンホール→艶ムラの原因。

希釈率の“正しい”考え方(体積%の落とし穴)

メーカー表記は多くが**「塗料に対して○%」。つまり10Lの塗料に“対して”10%ならシンナー1.0Lが正解。
一方で
“総量の10%”と誤解すると約1.1L**入れてしまい、過希釈になります。

希釈が膜厚に与える影響(例)

  • 塗料の体積固形分=45%、目標DFT=40μm

  • 希釈0%:必要WFT = 40 / 0.45 ≈ 89μm

  • 希釈10%:実質固形分は45% ÷ 1.10 ≈ 41%WFT ≈ 98μm
    薄めるほど同じ耐久に必要な塗り厚が増える回数・負担・ダレのリスクが上がります。

結論最小限の希釈で規定粘度・吐出性を満たすのが最良。温度調整>希釈が先。

2液型(2K)の混合:順番・誘導時間・可使時間

  • 秤量重量比指定は必ず“はかり”で。体積計量は温度差で誤差が出る。

  • 順番主剤→硬化剤→攪拌→誘導。希釈は主剤+硬化剤の混合後に。

  • 誘導時間(スウェットイン):反応開始・泡抜け待ちに5〜10分(製品TDSに従う)。

  • 可使時間(ポットライフ)開始時刻を缶に記入。超過は艶ムラ・付着不良の原因。

  • 一度に作らない作業量×可使時間小分け仕込み

注意:2Kは過攪拌で発熱→急速硬化を招くことがある。低速・短時間で。

現場NGあるある(原因→対策)

  • 目分量で“なんとなく10%”過希釈/膜厚不足 → 計量カップ+2%刻みに変更。

  • 底の沈降を起こせていない → 色分・艶ムラ → 底さらい羽根+缶壁スクレープ

  • 寒いから薄める → 粘度は下がるが揮発遅延・白化室温・材料温度を上げる

  • 高速攪拌で泡巻込み → ピンホール・艶引け → 低速+渦を作らない角度

  • 2Kの“誘導なし”で塗る → 刷毛目残り・レベリング不良 → 誘導時間を守り再攪拌

  • 缶の口が汚れたまま → 異物・乾燥片混入 → 作業前に拭き上げ・ストレーナー必須


現場に貼るチェックシート

  • TDS確認(希釈率/推奨粘度/可使時間)

  • 温湿度20±5°C、露点+3°C以上

  • 素攪拌3〜5分(底・側面を起こす)

  • 粘度カップ測定(20°C換算)

  • 希釈は“塗料に対して”2%刻み→再測定

  • ストレーナー80–100メッシュで濾過

  • 15–30分ごとに10–20秒再攪拌

  • 2Kは秤量→攪拌→誘導→希釈の順

  • 可使時間の開始時刻を缶に記入

  • 作業中はこまめに蓋を閉める


まとめ/100円診断のご案内

  • 攪拌=沈降を起こす、希釈=最小限が鉄則。測る→混ぜる→薄める定量化すると、艶・色・密着・耐久が安定します。

  • 当社の100円診断では、現場の温湿度・粘度・膜厚管理運用表までセットでご提案。追加費用なしの軽微補修も標準対応です。

▼ご予約:電話 028-612-8881(7:00–22:00) 

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監修・編集情報/免責

  • 企画編集:栃木県塗装の相談窓口 編集部

  • 監修:塗装担当(施工技能士/実務10年以上)

  • 所在地:栃木県宇都宮市東宿郷3ー1ー8大福ビル3F

  • 更新日:2025-08-12

本記事は一般的な情報提供です。製品ごとの**TDS(カタログ)**指示が最優先です。現場判断は安全を最優先に行ってください。


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