木部は塗る?それとも板金巻き?——破風・鼻隠しの寿命設計【宇都宮・栃木】

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更新日:2025-10-02|対象:戸建てオーナー/管理会社/発注担当者

執筆:栃木県塗装の相談窓口 編集部
技術レビュー:施工管理責任者 小林 凌乃介(現場経験10年以上)
所在地:栃木県宇都宮市東宿郷3-1-8 大福ビル3F|電話:028-612-8881
検証方法:腐朽度チェック(目視・打診・含水計)/取り合い納まり写真/露点差・湿度ログ


結論

  • 軽度の劣化(表面割れ・素地露出)塗装再生で十分。

  • 中度(角欠け・小規模腐朽・再発が早い)部分交換+塗装が合理的。

  • 重度(指が入るほどの軟化・内部腐朽・雨筋で常時湿り)下地補修/交換+板金巻き(ガルバ等)水の入口を構造的に断つのが長持ち。

  • 判断の軸は①腐朽度×②含水(湿りやすさ)×③取り合い(屋根・水切り)×④意匠と予算“水の入り口”を先に潰すのが正解です。


まず用語整理

  • 破風(はふ):切妻屋根の妻側の板。風・雨の直撃を受けやすい。

  • 鼻隠し:軒樋が付く横長の板。樋の水はね・つたう水にさらされる。

  • 板金巻き:木部を薄板金(例:ガルバリウム)で被覆し、水を表層で捌く工法。


3分セルフ判定(家の前でOK)

  • 角が黒ずみ・指で押すと柔らかい(腐朽)

  • 釘頭・ビス周りが黒く滲む(水の侵入)

  • 樋の真裏に雨筋/塗っても1〜2年で剥げる

  • 屋根材と破風の取り合いに隙間・逆段差
    2つ以上当てはまれば塗装だけは再発リスク大交換or板金巻きの検討ゾーンです。


腐朽度で分ける意思決定フロー

  1. 軽度(表層)

    • 症状:塗膜割れ・毛羽立ち、素地露出、小さなヘアクラック。

    • 推奨:下地調整→防腐→2液系上塗

  2. 中度(局所腐朽)

    • 症状:角欠け・端部軟化、釘周りの黒染み。

    • 推奨:部分交換+防腐→板金当て→塗装 or 部分板金巻き

  3. 重度(内部)

    • 症状:指が入る・空洞音・表面がフカフカ。

    • 推奨:下地から交換→板金巻き。塗装のみは不可。

含水が高い状態での塗り足しはNG。 露点差≥3℃・RH≤85%・木部含水≤15%をGO/NO-GOの目安に(製品TDS優先)。

「塗装」再生の正攻法(軽度〜中度向け)

  1. 下地調整:ケレン(#120前後)→脆弱部除去→脱塵。

  2. 防腐・含侵:端部・小口に浸透型防腐剤を先行含浸。

  3. 下塗木部用シーラー端部条塗り→面塗りで含ませる。

  4. 上塗弱溶剤2液ウレタン/フッ素など柔軟性のある系2回。端部はストライプコートで膜厚確保。

  5. 釘頭処理:防錆プライマー→パテ整形→上塗り。

向く条件:下地健全・水があまり掛からない・色差を抑えて既存意匠を維持したい。
限界常時湿り・樋裏の飛沫直撃・角部腐朽は再発しやすい。


「板金巻き」の正攻法(中度〜重度・再発家向け)

  • 目的被覆で一次防水を前面に出す/木口を水から遮断

  • :ガルバリウム薄板(厚みは現場に応じ選定)+防腐処理木下地止水部はシールではなく形状で勝つ

  • 納まり(要点だけ)

    1. 屋根材との重ね代逆段差(逆水)を作らない

    2. 水切り(ドリップ)先端折り返し(ハゼ)水を外へ落とす

    3. 端部・継ぎ目:雨筋方向へ逃がす。シールは補助であって主役ではない。

    4. 通気面全体を密閉しない(結露で裏腐朽を呼ぶ)。

    5. 固定ステンレスビス+座金/下地の効く位置で留める。

向く条件:角腐朽・再発歴あり・樋裏の常時湿り・意匠より耐久優先。
注意腐朽部の“生きていない木”は先に交換。腐った上の巻きは短命


取り合い(屋根・樋・軒天)で失敗しない

  • 樋の勾配・口開きを先に是正。水はねが減らない限り再発

  • 軒天との取り合い裏からの水の回り込みを止める。

  • 屋根端部:板金先端に水返し形状を設け、毛細上がりをカット。

  • 小口条塗り+板金の小口隠しで吸水ブロック。


美観と色合わせ

  • 塗装:既存付帯と色連続が取りやすい。艶は5分〜3分でムラ抑制。

  • 板金巻きサッシ・樋の色に合わせると一体感◎。

  • 経年差:濃色は熱で伸縮シール割れに注意(柔軟系を選定)。


ざっくり費用感(相対比較の目安)

実額は長さ・高さ・腐朽範囲・足場有無で変動します。

  • 塗装(ケレン+防腐+2回塗)1.0x

  • 部分交換+塗装1.5–2.0x

  • 板金巻き(下地一部交換含む)2.0–3.0x

  • 全面交換+板金巻き3.0x〜


見積で“固定”すべきチェック

  • 腐朽度の区分(軽・中・重)と写真

  • 含水・露点差・RHGO/NO-GO基準(数値)

  • 塗装案:下地調整/防腐材/下塗・上塗の製品名・回数・規定塗布量

  • 板金案:材質(例:ガルバ)/厚み重ね代水返し形状固定方法

  • 取り合い是正:樋勾配・屋根端部・軒天の処置

  • 工程写真Before→下地→防腐→下塗→上塗 or 板金施工→完了

  • 保証の線引き:塗膜/雨仕舞い/腐朽再発


“やってはいけない”NG集

  • 腐った木にそのまま板金を被せる(隠れ腐朽が進行)

  • シール頼みの止水(形状で水を切るのが基本)

  • 上向き高圧洗浄で木口に注水(含水上昇→密着不良)

  • 夕方の追い塗り→夜露(白化・艶引け)

  • 露点差<3℃・RH>85%での塗り重ね

  • 釘頭の未処理(錆汁→再塗装早期劣化)


よくある質問(FAQ)

Q. 板金巻きにすると、もう塗装は不要ですか?
A. 表面の再塗装周期は延びますが、接合部・ビス・シールは点検が必要です。汚れや退色に合わせた部分塗装は有効です。

Q. 木の質感を残したいのですが?
A. 防腐ステイン系(着色/クリヤー)が選択肢。ただし耐候は短め庇の出・雨筋の多い面では板金当て+ステインなどハイブリッドが現実的です。

Q. どのタイミングで板金巻きが得?
A. 角腐朽が複数・再塗装間隔が短い・樋裏が常時湿りは板金巻きのメリットが大きいです。下地交換とセットで検討を。

Q. 断熱や結露に影響は?
A. 通気を確保し、密閉しない納まりにすれば問題は生じにくいです。密閉=結露リスクなので設計が重要です。


まとめ/ご相談はお気軽に

  • 軽度は塗装/中度は部分交換+塗装/重度は交換+板金巻きが基本線。

  • “水の入口”を先に止め、形状で水を外へ落とすと長持ちします。

  • 当社は写真と数値(含水・露点差・RH)意思決定を可視化し、無理進行しません

最短当日OK:無料相談・100円診断

  • 診断:腐朽度・含水・取り合いを写真+チェックで判定

  • 提出:48時間以内の簡易報告書(仕様案・工程・概略スケジュール)
    所在地:栃木県宇都宮市東宿郷3-1-8 大福ビル3F|電話:028-612-8881(9:00–18:00)
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  • 更新日:2025-10-02

本記事は一般的な情報提供です。最適な仕様は現地条件・各製品TDS(技術資料)でご確認ください。高所・電気・板金加工は専門業者へ。


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